ユニークな航空無線のやりとり
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こちらのチャンネルでは、無線や航空業界の豆知識を中心に扱っています。
今回は、飛行機がゲートから滑走路を離陸する前までの、
クリアランス受領、プッシュバック、タクシーリクエスト、タワーコンタクトまでを
紹介します。
①クリアランス受領
皆さんが飛行機に搭乗する間、パイロットは管制官からクリアランスをもらいます。
クリアランスとは、『デリバリー』と呼ばれる管制承認伝達席からもらう、
飛行承認のことをさします。
内容には、出発地から目的地までの経路、高度、スコーク、周波数が含まれます。
『デリバリー』と呼ばれる管制官は、飛行機に対してクリアランスを出したのち、
『グランド』と呼ばれる管制官にコンタクトするよう指示します。
ではここで、無線のやり取りを聞いてみましょう。
ATC https://www.youtube.com/watch?v=qyluRRSL1Kc
JL124 : “Osaka Delivery, Japan Air124, Good afternoon.”
JL124 : “大阪デリバリー、JL124です、こんにちは。”
DEL : “Japan Air 124,Osaka Delivery, good afternoon, go ahead”
DEL : “JL124、こんにちは、どうぞ。”
JL124 : “Japan Air 124, to Tokyo, Flight Level 270, spot 17 ”
JL124 : “JL124です。東京までのクリアランスを高度FL270でお願いします、スポット17番です。 ”
DEL : “Japan Air 124, cleared to Tokyo airport,via ASUKA 4 Departure, SHTLE transition,
flight planned route, maintain flight level 160, expect flight level 270, Squawk 3327.
DEL : “JL124、東京まで、SHTLE経由のASUKA 4 Departureのから計画通りでどうぞ。高度は初めは
FL160で、後にFL270が承認されるでしょう。スコークは3327です。”
JL124 : “Japan Air 124, cleared to Tokyo airport,via ASUKA 4 Departure, SHTLE transition,
flight planned route, maintain flight level 160, expect flight level 270, Squawk 3327.
JL124: “JL124、東京まで、SHTLE経由のASUKA 4 Departureのから計画通りでどうぞ。高度は初め はFL160で、後にFL270が承認されるでしょう。スコークは3327です。”
DEL : “Japan Air 124, read back is correct. Osaka Ground 121.7.”
DEL : “JL124、復唱は正しいです。大阪グランド121.7と通信してください。”
JL124 : “Ground 121.7, Japan Air124”
JL124 : “グランド121.7、了解しました、JL124。”
※FL、flight levelについて
低高度において、飛行機の高度計は大気の圧力を利用して高度を求めます。
通常、高度14000ft、つまり約5000m以上の上空においては、
全ての飛行機は標準大気を飛行していると仮定して、
大気の圧力の補正をせずに飛行します。その高度がflight levelという高度です。
全飛行機が等しく高度計補正を圧力によって行わないので、
例えばFL180と18000ftは厳密には異なるのですが、
等しく補正を行わないので、飛行機同士の垂直間隔は確保されるのです。
※スコークについて
ここで表示されるスコーク4桁は、識別番号のことで、
この数字をもとに管制官は飛行機の機影を管制卓から捉えて指示を出します。
通常0-7までの数字4桁で指示をされますが、
7700は緊急事態、7600は無線胡椒、7500はハイジャック発生など
特殊なスコークも存在します。
※ATCで用いる特殊な英語、フォネティックコードについて
管制では間違いを減らすために、Aをアルファ、Bをブラボー、Cをチャーリーなど、
と聞き取りやすいように発音します。
また、9もナイナーや、5もファイフ、thousandもタウザンドのように発音します。
https://note.com/hollywood0511/n/n1d10ff7d6c3a
②プッシュバック
乗客が全員乗り、貨物も全て搭載され、必要な準備がそろったら
パイロットは指示されていた『グランド』に、プッシュバックの許可をもらいます。
パイロットは、自機のスポット番号、取得した最新のATIS情報を通報します。
『グランド』からは、プッシュバックの許可を出し、
時には方向やどこまでプッシュバックを行うかの指示まで出します。
ATC https://www.youtube.com/watch?v=3JB9HqWcEAk
JL120 : “Osaka Ground, JL120, request push back, spot18, with information India(=I).”
JL120 : “大阪グランド、JL120です、プッシュバックを要求します、スポット18番、ATIS I”
大阪グランド : “JL120, stand by push back shortly, due to arrival to spot 17”
大阪グランド : “JL120、少々お待ちください、17番に到着機が入ります。”
JL120 : “JL120, rojer, standing by”
JL120 : “JL120、了解しました。”
大阪グランド : “JL120. Osaka GND, push back approved, RWY 32”
大阪グランド : “JL120, 大阪グランドです、滑走路は32、プッシュバックを許可します”
JL120 : “Push back approved, RWY 32,JL120”
JL120 : “プッシュバック許可、了解しました、JL120”
実は、通常の旅客機は車のように後ろに進むことはできません。
そのため、トーイングカーという車で飛行機を頭から押してもらいます。
その押してもらう間に、パイロットは飛行機のエンジンをかけてタクシー、
つまり地上移動の準備を整えます。
※ATISとは
automated terminal information serviceの略で、日本語に翻訳すると自動飛行情報サービスになります。内容には、現在の視程や雲の高さ、気温、湿度、気圧といった気象情報と、
使用滑走路、使用アプローチ方式といった運航に関する情報などが含まれます。
特定の周波数で情報が流され続け、無線でも聞くことができますが、
現在のコックピットでは電子的に印刷することが可能です。
https://www.jal.com/ja/jiten/dict/p302.html
③タクシー(飛行機の地上移動)からタワーコンタクトまで
地上移動の準備を終えたら、次は『グランド』に地上移動の許可をもらいます。
『グランド』からは、離陸滑走路までの経路が指示されます。
ATC https://www.youtube.com/watch?v=3JB9HqWcEAk
JL120 : “(Osaka Ground), JL120, request taxi”
JL120 : “大阪グランド、JL120です。リクエストタクシー”
大阪グランド : “JL120, RWY 32L, taxi via E5, A, to holding point C1”
大阪グランド : “JL120、RWY32Lまで、E5とAを通り、待機点C1までタクシーしてください”
JL120 : “E5, A, to holding point C1, JL120”
JL120 : “E5, A経由のC1ですね、JL120”
大阪グランド : “JL120, contact Osaka Tower 118.1”
大阪グランド : “JL120, 大阪タワー118.1と通信してください”
JL120 : “118.1,JL120”
JL120 : “118.1 了解です。”
https://opennav.com/pdf/RJOO/JP-AD-2.24.1-RJOO-en-JP.pdf
次回は、離陸にまつわる管制についてご紹介します。
是非チャンネル登録やコメントをお願いします。
動画のリクエストも受け付けております。
それではまた次の動画でお会いしましょう。
ご視聴ありがとうございました。 #####
■無線や航空業界の豆知識(1000-2000文字/-6分)1233字
こちらのチャンネルでは無線や航空業界の豆知識を中心に扱っています。
今回は空の地点、ウェイポイントに関して紹介します。
飛行機は空を自由に飛んでいるように見えますが、
実は上空には飛行機の通り道「航空路」が定められています。
かつては地上施設のVORやDMEといった施設を用いて、その航空路を通っていましたが、現在ではGPSの技術の発展により、地上施設に依存しない航空路も生まれ始め、
空の地図は、より複雑化しています。
その航空路の分岐点や空域の境界などに、「ウェイポイント」と呼ばれる地点が設定されており、管制官がパイロットに対して、「ウェイポイント●●にむかってください」というような指示を出します。
航空路はY52やR115などのように表されるのに対して、ウェイポイントはアルファベット5文字で、TEDIXのように表されます。
この5文字は、地域に関するもの、著名人や特産品に関するものまであり、
興味深いのです。
まずは、最もオーソドックスな地名にまつわるものです。
KOMAKは愛知県小松市、SANDAは兵庫県三田市といった市の名前からとったものや
SHIMAは志摩半島、AWAJIは淡路島といった島や半島からとったものもあります。
湖や山といった自然に関係するものとして、BIWWAは滋賀県の琵琶湖、
ROKKOは兵庫県の六甲山、YACHIは十和田湖の谷地温泉などがあります。
次に、特産品にまつわるものです。
宇部沖はあさりの名産地なのでASARI、広島では牡蠣のOYSTR、福岡周辺にはKIRIN、MALTS、EBISU、LAGARとビールに関係するウェイポイントが続き、
九州から四国ではGOMAR、AZUKI、POTET、ONIKU、LAMENと、
素材だけでなく加工品まで並びます。
岡山では桃太郎にちなんだDANGOや、果物のPIONEやOLIVEと、
西日本の上空を通るときにはお腹が空きそうですね。
地方特有という見方をすれば、関西ではHONMA、KAINAと続き、
関西弁の「ほんまかいな!」を連想させます。
また、車に関連するものも多いです。
広島上空に自動車メーカーマツダのDEMIO、ATENZ、AXELA、CAROLといった、
ウェイポイントが並び、付近にはTIIDA、VISTAと日産やトヨタのメーカーのものも並びます。与論島付近まで目を向けるとPRIUSやLEXUSなどもあります。
そして、その地方特有の文化的な作品に関係するものもあります。
特に四国には多く存在し、松山空港から出発経路のSAKAR、NOUEH、NOKMOの3つの連なるウェイポイントからは司馬遼太郎の作品「坂の上の雲」、
高知への到着経路のANAPN、PANCHは、やなせたかせさんの作品「アンパンマン」のアンパンチです。また、四国付近にはLUFFY、ZOROH、SANJI、ROBIN、JINBE、SUNNY、JANGO、YANKSと尾田栄一郎さんの漫画である、「ONE PIECE」に登場するキャラクターにまつわるウェイポイントが多いです。
さらに、著名人にまつわるものとして、芸能人の出身が多い秋田は特に面白いです。
柳葉敏郎さんのGIBAR、佐々木希さんのNOZOM、乃木坂46の生駒里奈さんのRINAH、
ちなみに東京上空では、羽田空港の都心を通る新ルートに伴って、荒川上空にOHEDO、EDOJOが登場し、中野区上空にリポビタンDを連想させるRIPODなどもできており、
製造元の大正製薬はこのポイントの東方、豊島区に位置しています。
今後も遊び心をくすぐるようなウェイポイトがたくさんできるといいですね!
いかがでしたでしょうか。
是非チャンネル登録やコメントをお願いします。
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それではまた次の動画でお会いしましょう。
ご視聴ありがとうございました。 ######
https://trafficnews.jp/post/79575
https://bukiyoublog.com/aircraft-knowledge-funny-waypoint-name