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航空無線マニアもいる

航空無線にかなりファンがいることをご存知でしょうか。

 

空港付近には、無線を聞くために集まっている無線ファンもいるのです。

 

皆さんは、空を飛ぶ航空機と地面にいる管制官が無線交信をしていることを知っていますか。

 

航空機が安全に目的地にたどり着くためには欠かせない手段の1つです。



航空無線は法律上、受信機があればだれでも自由に聞くことができ、実際に空港に行くとやりとりを聞いている人を多く見かけます。では、航空無線を聞くことで何ができるのでしょうか?

 

航空無線は飛行機に対して様々な指示を出す場所です。

空港にもよりますが、大きな空港であれば「デリバリー」「グランド」「タワー」「アプローチ」「ディパーチャー」の5つを担当します。

 

そして、上空を飛んでいる飛行機に対しては「コントロール」と呼ばれる場所から指示が飛びます。「コントロール」ができる場所は限られており、日本国内では5つの場所(札幌・東京・神戸・福岡・福岡航空交通管理センター)で行われています。

 

ここでは、どんなやり取りがされているのか、実際の交信内容を元に解説します。

 

1.デリバリー(管制承認伝達)

 

航空機の飛行方式には計器飛行方式 (IFR) と有視界飛行方式 (VFR) の2種類がある。

IFRで飛行する航空機が管制空域を飛行する場合は飛行計画の承認を受ける必要があり、この管制承認を航空機に伝達する機関です。

 

実際の交信はこんな感じ

 

「All nippon  51, Cleared to New Chitose Airport via Pluto 1 departure flight planned route, maintain Flight level 150, expect flight level 370. Squawk 2146.」

全日空501便、新千歳空港への飛行を承認。経路はプルート1出発方式、その後は飛行計画経路通り。離陸後は15,000フィートを維持、飛行高度は37,000フィートを予定。トランスポンダーのコードは2146。)

 

デリバリーは出発の概ね5分程度前に出ます。行先とルートが分かります。

 

2.グランド(地上管制)

出発の承認が下りると次は「プッシュバック」。つまり飛行機を押して出発できる位置に移動しますが、これも許可が必要になります。

All nippon 51, Push back approved. Runway 16L.Heading North

全日空51便、プッシュバック許可。滑走路は16L、頭を北向き

これでトーイングカーが飛行機を押します。駐機場が混雑している場合には、ここで「Stand by 」といって待機が入るケースもあります。

トーイングカーが外れると滑走路に向かって移動しますが、これも許可がいります。

 

All nippon 51, Runway 16L. Taxi to holding point via W-3, C, A-1.

全日空51便、使用滑走路は16L。滑走路まで誘導路W-3・C・A-1を経由してください。

 

3.タワー(飛行場管制)

グランドを指示通り走行し、滑走路が近づいてくるとタワーにハンドオフします。タワーでは、滑走路の離着陸機をコントロールします。離陸機ではこんな交信になります。



これで飛行機がエンジンの出力をあげて離陸します。滑走路が比較的空いている状況では「Line up and wait」の指示はなく、いきなり「Cleared for take off」という指示が出るケースもあります。

 

4.ディパーチャー(出域管制)

ディパーチャーは、離陸した飛行機をエンルートと呼ばれる上空の空路まで誘導します。どこを通るのかはデリバリーの段階で決められていますが、その高度まで安全に上昇できるように管制官が誘導します。

All Nippon 51, Radar contact. Climb via Pluto 1 Departure.

全日空51便、レーダーで捕捉しました。プルート1出発方式に従って上昇。

All Nippon 51, Fly heading 020 vector to SEKIYADO. Climb and maintain Flight Level 150.

全日空51便、針路020度でセキヤドまで誘導。高度は15,000フィートまで上昇し維持。

エンルートに到達するポイントまで到着したら上空を管理する「コントロール」に引き継がれます。



5.アプローチ(入域管制)

逆に上空を飛んでいる飛行機が到着空港に向けて降下を開始するときには「アプローチ」と交信するところからスタートします。

アプローチは、気象条件や到着機の数によって航空機同士の間隔を広げたり、狭ばめたりする必要があり、さらに、滑走路が2本以上あるような空港では、それぞれの滑走路に向けて飛行機を誘導する必要があります。そのため、大空港東京国際空港など)や混雑空域(関西アプローチなど)ではアプローチにいくつかの周波数が割り振れれており「レーダー1」「レーダー2」「アプローチ」とコールサインが変わる空港もあります。

 

Japan Air 120, Fly heading 200 vector to final approach course. Descend and maintain 10,000.

日本航空120便、針路200度で飛行。最終進入コースへレーダー誘導。

高度10,000フィートまで降下し、維持。

Japan Air 120, Turn right heading 330 for spacing.

日本航空120便、航空機の間隔を開けるため、針路330度へ右旋回。

Japan Air 120, Turn left heading 340 to Intercept localizer. 12 miles from outer marker. Cleared for R-nav runway 34L approach.

日本航空120便 針路340度へ左旋回してローカライザーを捕捉。貴機はアウターマーカーから12マイル地点。

R-nav(計器着陸装置)を利用し滑走路34Lへ計器進入方式による進入を継続せよ。

 

このあとタワーにハンドオフされ

Japan Air 120 Runway 34L cleared to land wind 330 at 12

日本航空120便 滑走路34Lへの着陸を許可する。風は330度の方向から12ノット

 

このように誘導され、飛行機は無事に着陸、着陸するとグランドコントロールにコンタクトし

Japan Alr 120, taxy by A, B2, spot 12

日本航空120便、誘導路A,B2を通り12番スポットに入れ

 

このように指示をされています。

 

ここで紹介をしたのは、航空機を誘導する無線の基本形式であり、ここに紹介した以外にも様々な無線があります。

 

また、小さな空港であれば、クリアランスとグランドが同一周波数になっていたり、さらに航空管制官がおらず、航空管制運航情報官が航空機に対して無線を指示する場合には、ここで紹介した言い回しとは異なる言い方をします。

 

次回は、ちょっとマニアックな無線会話についてご紹介します。





アプローチは、水平飛行から着陸に向けて降下をするときに交信をしています。

 

交信の最初で、着陸する滑走路の方向や位置を指示されるので、大きな空港であれば飛行機を見る場所を変えなければいけません。

 

空港にもよりますが、アプローチと交信をして10〜20分程度で着陸になります。

 

この交信が始まったら飛行機が来ると思っておけばよいです。



2つ目のメリットは「やってくる飛行機の会社がわかる」ということです。

 

遠くから飛んでくる飛行機はどこの会社であるか近づかないと判別できません。

 

しかし、航空無線を聞いていれば、どこの会社なのかすぐに判別することができます。

 

なぜなら無線では必ず最初に「コールサインと便名」を呼ばなければいけない決まりになっているからです。

 

コールサインは、各航空会社に個別に割り振られているもので、JAL日本航空)であれば、Japan airANA全日空)であれば、All Nipponのように決まっています。

 

航空会社の英語をそのままコールサインにしているところもあれば、航空会社と場は全く別物を採用しているところもあります。

 

代表例はJet Starは「オレンジライナー」がコールサインです。

 

そして、その後に数字を言います。

 

これが便名になります。

 

つまり、最初の交信を聞けば、どんな会社でどこからやってくる便なのかを把握することができます。