Go Aroundはトラブル?
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今回はGo Aroundについてご紹介します。
Go Aroundとは
Go Around の意味は航空業界辞典には
着陸の際、滑走路上に障害物を発見したり、気象条件による視界不良、先行機と充分な間隔が取れない場合などのアクシデントが発生した際、直ちに着陸を止め、再上昇すること。 と記載されています。 つまりGo Around を日本語で表すと「着陸復行」または「進入復行」です。 文字通り着陸やり直しという意味です。 Go Aroundをする要因は「ATCの指示」、「滑走路に他機の侵入」、「ウィンドシアー」「ウェイクタービュランス」「装置のトラブル」「地震」「アンステイブルアプローチ」などさまざまあります。 Go Aroundは緊急手順ではないので、パイロットが少しでも安全な着陸に不安をえるなら、ゴーアラウンドをし覚て状態を整え直します。 Go Around が行われる状況を大きく分けると
の3つに分かれます。ひとつずつ見ていきましょう。 画像② 着陸に危険を感じた時 特に多いのが、着陸に危険を感じた時です。これは強風の時に多く発生します。特に横風が強いときです (クロスウィンド/Cross Wind)。 一番怖いのがウィンドシアと呼ばれる状態で、強い向かい風だったのが低高度で急に追い風になる現象です。着陸直前に急に追い風になると何が起こるかと言うと、風に対する速度が落ちるため揚力を急激に失います。最悪の場合、滑走路に叩きつけられて事故になることもあります。 パイロットは「このままでは安全な着陸できない」と判断したら、躊躇なく着陸を諦めて上昇姿勢に移ります。 また、滑走路上に別の機体や車両を発見したとき、鳥の大群を発見した時なども Go Around を行うシチュエーションの1つです。滑走路上に何か人工物を発見するというのは、管制ミスの場合と相手のミスの場合の両方がありますが、いずれにせよ、衝突する危険を回避するために着陸を中止します。 鳥の大群の場合はバードストライク(機体やエンジンへの鳥衝突)の危険性がありますので、それを回避するために着陸を諦めます。 画像③ 飛行機は横風に強い影響を受ける 追い風、向かい風、横風、飛行機の着陸に適する風は向かい風です。無風も問題ありませんが向かい風なら強い風であっても飛行機をコントロールするのは容易です。向かい風は飛行機の頭から吹く風ということでヘッドウィンドと呼びます。反対に追い風は飛行機の尾翼から吹く風なのでテールウィンドです。 横風は、英語で言うとクロスウィンドです。簡単に言えばテールでもヘッドでもないならクロスです。飛行機は横の面積が広いため、横からの風に大きく影響を受けます。そのため着陸時、横風がかなり強いときはパイロットがGo Around するほうが安全と判断します。 画像④ 滑走路が見えないとき 近年の航空機は技術の進歩により、電波で誘導する装置が付いている滑走路の場合は、設備や装置の精度にもよりますが、完全な自動着陸ができる仕組みが整えられています。ただし、基本的にはある高度まで降下した時、滑走路が目視できることが条件です。 計器着陸装置 (ILS:Instrumental Landing System) の精度によって、滑走路が見えないといけない最低高度 (決心高 [DH] <電波高度>、または決心高度[DA]<気圧高度>という) が決まっておりそこまで降下しても滑走路が見えない場合は、\Go Around しなければなりません。 霧の時、パイロットは最低高度まで降下して滑走路が見えたら「着陸(Landing)」を宣言し実際に着陸操作、一方、見えなかったら「Go Around」を宣言し、操作を行います。 画像⑤ 管制官に指示された時 こちらは最もわかりやすいです。例えば、先行機が滑走路上でトラブルを起こした場合や自分が着陸しようとするタイミングで先行機が滑走路を抜けきっていない場合などは、管制官がゴーアラウンドを指示したりします。航空無線でも、事故機があった際、管制官は即着陸予定の飛行機にGo Around してください、と指示を出しています。またパイロットも風の強い日は、乗客の安全のため、数回管制官に風向き、風速を確認していることが多くあります。 Go Around は、上述の通り天候が悪いときによく起きることなので、何度もトライすることもあります。数回行ってやっと着陸できる時もあります。そして何度もトライしても着陸が難しいと判断されると、ダイバート、つまり違う空港へ着陸することもあります。 画像⑥ Go Around は怖い? Go Around に遭遇した際、怖いと感じる方もいるでしょう。 まず、Go Around 自体については恐れる必要はありません。むしろ安心すべきです。何故なら危険の発生している中、着陸する方が危険だからです。むしろ、「着陸しなくてよかった」と思って良いでしょう。 画像⑦ 最終的には操縦のプロ、パイロットの判断を信じましょう。パイロットは飛行機の機能を熟知し、厳しい訓練をうけています。どの状況でどのような危険が想定できるか、全て把握しています。数回のトライを行っても着陸できない場合は目的地を変更する場合もありますが、それは安全を考えた判断です。パイロットが、着陸をやり直しても大丈夫と判断して宣言するGo Around はトラブルではありません。 危険な条件の中でも、一番安全で最適な状況で着陸するため行うこと、それがGo Around なのです。
YouTube概要 飛行機の着陸復行「Go Around」する大きな事情を3つご紹介します。
画像① https://airwallpaper.com/airplane-wallpaper-hd/
画像② https://wihokaviation.com/blog/go-around-minded
画像③ https://flyteam.jp/news/article/130711 画像④ https://ja.m.wikipedia.org/wiki/%E3%83%95%E3%82%A1%E3%82%A4%E3%83%AB:787-flight-deck.jpg 画像⑤ https://wallpapers.com/wallpapers/airplane-sky-flight-clouds-sunset-a3pa4nf85uu51le3.html
画像⑥ https://airwallpaper.com/airplane-wallpaper-hd/
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